土合駅(どあいえき)とは、群馬県高崎駅から新潟県長岡駅を結ぶJR上越線にある駅で通称もぐら駅と呼ばれています。
もぐら駅と言われる訳は、下りホームが地下70.6メートルの地底にあるため、そう呼ばれています。
関東の駅百選にも選ばれており、鉄道マニアでは超有名で一度は訪れたいスポットです。
今回は、家族旅行には持ってこいの土合駅を紹介します。
まんま一家はキャンプや旅行(特に温泉)が大好きで、今回はGOTOキャンペーンもあり、群馬県みなかみへ行ってきました。
当初、谷川岳をハイキングしてゆっくり温泉に入る旅を考えていたところ、8月の豪雨により谷川岳ロープウェイ手前で通行止め。
当然、ハイキングもキャンセルで、途方に暮れたところ、旅行へ行く少し前にNHKのニュースで紹介されたことを妻が思い出し、調べたらすぐに土合駅を発見。早速駅まで向かいました。
【日光へ行くなら】 |
土合駅(どあいえき)ってどんなところ
土合駅の場所は、群馬県利根郡みなかみ町にあり、谷川岳の麓にあります。12分ほど歩くと谷川岳ロープウェイへ行けます。
JR上越線の無人駅で、走っている時間帯としては下りが8時、9時、11時(臨時列車)、13時、17時、20時のそれぞれ1本の合計6本、上りは6時、8時、10時(臨時列車)、12時、15時、18時と下り同様に合計6本しか走っていません。そのため、観光の勢いで乗ったら戻れなくなる危険性もありますので注意してください。
特徴としては上り(高崎駅方面)と下り(長岡駅方面)の駅が大きく分かれ、特に下りが地下70mまで下がります。普通、ここまで遠いと都心だったら、エレベーターやエスカレーターがあるかと思いますが、そこは田舎の無人駅。すべて階段で昇り降りします。
階段の長さは338mで462段あり、それ以外に連絡通路が143mに階段が24段となり、改札口から下りホームまでの長さが481mで階段の合計が486段ととてつもなく長く、所要時間は約10分かかります(実際もっとかかったようにも感じますが)。
ちなみにJR駅構内で距離が離れている乗り換えとして、東京駅の京葉線が有名ですが、その東京駅の東海道線ホームから京葉線ホームまでの長さが565.2mですので、東京駅の方が84.2m長いですが、高低差は37.2mと土合駅の約半分。当然エスカレーターや動く歩道も設置されているので、実際の運動量としては土合駅には到底かないません。
また、首都圏での高低差では秋葉原駅の中央線各駅ホームとつくばエクスプレスのホームの48.6mが最長ですので、70.6mの高低差がどれほどあるか想像できるかと思います。
もともと土合駅は昭和6年(1931年)に信号場として開設し、昭和7年(1932年)にスキーシーズンだけ臨時に停車していました。そして昭和11年(1936年)に駅に昇格。昭和42年(1967年)には、湯檜曽駅(ゆびそえき)と土樽駅(つちたるえき)間に上り線路とは別に新清水トンネルを開通させ、その区間だけ複線として運用が開始されました。ですので、新清水トンネルが開通する前は大正時代から使用されていた上りの線路だけでしたので、このような不思議な駅になったのは昭和42年以降からになります。
当時は谷川岳への登山客が多く、階段はウオーミングアップにちょうど良かったそうで、また下りホーム内で寝泊まりする登山客も多くいたそうです。
現在では、上越新幹線や関越自動車道の開通により、客足も年々減少し、今では1日の利用者数は20人程度でしたが、最近では、モグラ駅として鉄道ファンからひそかに脚光を浴びて、訪れる人も増えたようです。
【旅の計画は】 |
土合駅へ行ってみた
谷川岳をモチーフにした駅舎
土合駅は、道路に駅の標識もなく突然現れます。見た目が駅っぽくなく、つぶれたドライブインみたいな感じでした(危なく通り過ぎるところでした)。
後でポスターを見ると谷川岳をモチーフにした三角形の屋根がシンボルだそうです。
駅舎の前はすべて砂利でそれも大きな石も多数あったので、車で近くまで行くのをやめて手前で車を停め、歩いて駅舎まで。
到着すると「ようこそ日本一のもぐら駅土合へ」と上に看板がありましたが、そこにも土合駅という標識はなく、初め廃線なのかと思いました。
中に入ると、もと駅員さんの切符売り場がカフェに代わっていて、ますますこの駅舎は使われていないのかと思ったほどです。
じゃあ切符はどうするのかというと「乗車駅証明発行機」なる赤い自販機のボタンを押すと乗車駅証明書が発行され、運賃は車内か到着駅で支払うシステムとなっています。
いざトンネル階段へ
「よし!モグラ駅の心臓部へ向かうぞ!」と意気込んでは見たところ、まずは1番線と2番線の案内があり、事前の下調べをしていない私たち家族にはどちらか一瞬わかりませんでしたが、2番線はすぐに外へとつながるホームとわかり、1番線へ。
向かえば向かうほど薄気味悪い雰囲気で、幽霊でも出るんじゃないかと思ったほどでした。後で調べると心霊スポットにもされていましたので、前もって調べていなくてよかったと後で思いました。
ちなみに私の妻は霊感が強いので、危ない時はいつも知らせてくれます。今回は何も感じなかったようでしたので、おそらく見た目の雰囲気や登山客の亡霊などの勝手なうわさから広がったのではないかと思われます。
渡り廊下の下にはきれいな川(湯檜曽川・ゆびそがわ)が流れており、外の心地よい景色が中の薄気味悪さを消してくれました。
ここまでは特に変わった感じはなく古ぼけて薄気味悪いただの駅でしたが、ここから先から、がらりと変わります。
「言葉では言い表すことのできない」とは、このことかと思いました。
地下深くまで続くトンネル。永遠と続く階段。ところどころに照らされた蛍光灯の周りには緑色のコケが。階段を一段一段下がると気温も下がって涼しさというよりは、やはり薄気味悪さの方が勝っているようにも・・・。
5段ごとに設けられた踊り場のおかげで、多少は無理せず昇り降りできるようにもなっていましたが、それでも降りるときにかかる体重で膝がガクガクになりました。
ただ階段の途中の踊り場には、水上地区まちづくり協議会が置いた木のベンチがところどころあり、私も休憩できたので助かりました。
もともとこれだけ長い階段の為、当初はエスカレーターを設置する予定のようでしたが、利用客が少ないことで設置されず、そのまま階段だけとなっているとのことです。
また、地下道ならではですが、トンネルのあちこちに地下水か雨水(この時外は雨が降っていました)が流れており、コンクリートが割れているのかとビビりましたが、よく見ると水を通す穴が設けられていましたので、この辺りは計算済みというところでしょうか。
1番線ホームに到着
走行距離481m、階段486段で高低差70mのトンネル階段を降り、1番線ホームに到着。
そこは気温も低く(夏でも長袖が必要なくらいの涼しさ)グレーの世界。目で見ている風景は当然カラーのはずなのですが、色を感じさせない世界が広がってとても神秘的な雰囲気でした。
高崎方面のトンネルは霧が立ちこもり先が見えず、反対側の新潟方面のトンネルは真っ暗なためこれまた先が見えず、この1番線ホームだけ単色の世界なのです。
蛍光灯近くのコケの緑と点字ブロックの黄色だけであとは霧とグレーの世界、人がいることで、現実の世界であることを感じさせますが、もし一人しかいなかったら、まさしく黄泉の世界へ行くプラットホームっていう感じをさせてくれます。
当初、この場所は特急などを通過させるポイントとして線路が2本あったのですが、上越新幹線開業により上越線での特急列車の使用は無くなり、そのため退避させる線路が取り除かれ、線路跡だけ残ってる状態となっています。
こんな神秘的なホームを満喫していたところ、なんと一日6本しか出会えない電車(臨時列車)が来るではありませんか。たまたま訪れたのにこんなラッキーなことで興奮状態。
当然、無人駅の為電車が来るアナウンスはなく、突然、霧のトンネルからの光が見えたかと思うと、見学に訪れていた観光客が急にみなさん撮影体制に。私も慌ててスマホで動画を撮影しました。この動画がその時の映像です。
今日は土曜日でしたので、土合駅の見学に来ていた観光客(私たち家族も含めて)と電車から降りてきた観光客で、土合駅の1番線ホームに一時的に多くの人がごった返していました(田舎の無人駅としたら)。
一時の人の多さも過ぎて、ほとんど観光客が過ぎ去ったあと、改めてホーム内を見学。
すると待合室や有人駅の名残の駅員室、トイレ(あまり入りたくない)まであり、待合室には訪れた観光客が自由に書ける記念ノートも置いてありました。
後で調べてみると、登山客が寝泊まりする時(勝手に)に、ガスバーナーを使って調理が多く行われたことから、以前は待合室は閉鎖されていたそうなのですが、今は解放されています。ただし駅舎の入り口には「火器厳禁」の表示がありますし、見回りもあるようです。
戻りは・・・
ひと通り1番線ホームを満喫し「さあ戻ろう」と意気込みますが、当然来た道を戻るだけです。
行きは興奮状態で下りましたが、帰りは無言のまま階段だけを見つめて一歩一歩踏みしめて上がって行くだけです。行きですでに膝が笑っている状態での上りは結構しんどく、改めてこのもぐら駅のすごさを思い知りました。
ちなみに2番線は
水上・高崎方面へ行く2番線ホームは普通の無人駅ではありましたが、のどかでゆったりとした時の流れを感じ、あの異空間の1番線ホームから上がってきた私たちには、少しホッとした気持ちにさせられました。
昔の上越線は、この2番線側の線路しかなく、新潟の人にとっては首都圏への人とモノの運搬はこの単線のみでした。しかし、昭和42年に新清水トンネル開通することで複線となり、早く安全な路線として長らく活躍していました。
現在では、人は上越新幹線にとって代わりましたが、モノの運搬は今でもこの上越線が動脈であり、1日11本の貨物列車が走っています。
ちなみに新清水トンネルということは、清水トンネルがあります。これが今は上りの路線に使われているトンネルで、川端康成の雪国で有名な冒頭部分「トンネルを抜けるとそこは雪国だった」の文章は、この清水トンネルからきています。
ということは、現在は新潟から高崎への路線のため、川端康成の雪国の世界を味わうことは残念ながらできません。新清水トンネルで雰囲気だけ味わうこととなります。
最後に
このモグラ駅は小さなお子さんやお年寄りと観光するには大変かと思います。もしお子さんといきたい場合は、土合駅を車できて見学ではなく、電車を利用してみると良いかと思います。
その場合のおすすめは次の通りです。
越後湯沢駅12時13分発(水上行き)→土合駅12時39分2番線ホーム着→土合駅駅舎観光・トンネル階段→1番線ホーム13時49分(長岡行)→越後湯沢駅14時13分着
土合駅では1時間10分ありますので、外へ出て湯檜曽川(ゆびそがわ)で少しだけ川遊びも良いかと思います。
最後に、土合駅は鉄道ファンが絶賛するだけあり、さすがに関東の駅100選に選ばれるだけのことはあると改めて感じました。
みなかみの観光はあまり多くありませんが、是非とも一度は訪れてみて、異空間の入り口の神秘的な感覚を体験してみてください。
【レンタカーを探すには】 |
コメント