キャンプは自然を満喫できる反面、不便な生活を余儀なくされます。親子で共同作業をすることにより共通の目的を持ち、一緒に行動することで自然と心がつながります。親子でなかなか会話が弾まないパパさんにとっては、キャンプはコミュニケーションをとれる絶好の機会です。
子供が「将来うまく社会に馴染めるかなあ」と心配しているママさんにとっても是非一度キャンプを子供と一緒に体験してみてください。
私は現在、人事の仕事をしています。そのおかげで色々な学生とふれあったり、また新入社員をみています。みんな輝いた目をしている若者たちが多くいる中で、一部では悩みを抱えていたり、将来に不安を感じたりした若者たちも見かけます。
そういった悩み苦しんだ若者たちが会社を辞めたり、うつ状態になっているのを見ていると「子供の時にもっと自然と触れ合えていれば変わっていたかなあ」と感じています。
コミュニケーション能力が上がる
最近では1人ゴミゴミした社会から離れ、癒しの空間を求めてソロキャンプをするキャンパーも増えていますが、キャンプは人と人とのつながりの大切さを学ぶことも大事なコンセプトの一つです。
キャンプ教室で人見知りを克服
話すのが苦手な子は意外と多いかと思います。いわゆる人見知りですね。
子供のときは親や周りの友達がフォローしてくれますが、社会ではそういうわけにはいきませんので、大人になる前に人見知りを克服する必要があります。
キャンプでは、子供だけで行う教室がたくさんあります。もちろん宿泊体験型の教室に行ければ良いですが、人見知りの子にはハードルが高いでしょう。
おすすめはデイキャンプや数時間だけの教室がありますので、そういったところから進めてみてください。
子供主体のキャンプは、自分から進んで動かないと何もできませんので、自ら話す勇気が必要となります。自信のない子はその勇気が出ませんが、インストラクターや周りの大人たちが話しやすい雰囲気を作ってくれますので、本人は自然と会話できるようになっていきます。
子供のうちに一生懸命伝える気持ちが持てるようになれば、会話が下手だとしても相手には良い印象を持ってくれますので、是非ともキャンプを通じて苦手な会話を克服するようにしてみてください。
焚火でもやもや感を解消
焚火の炎は、心を開放してくれます。このこころのメカニズムとして1/fゆらぎがあります。
1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)とは、パワー(スペクトル密度)が周波数 f に反比例するゆらぎのこと。ただし f は 0 より大きい、有限な範囲をとるものとする。(中略)
人間の生体は五感を通して外界から 1/f ゆらぎ を感知すると、生体リズムと共鳴し、自律神経が整えられ、 精神が安定し、 活力が湧くと考えられている[9][10]。精神・心理的変化(Mental /Psychological transition: 鬱状態から回復へ精神・心理的状態が変化)時の人間が描いた絵画などに 1/fゆらぎが表現されたケースを科学的に示した例もある。
出典: 「1/fゆらぎ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2020年8月14日 (金)
1/fゆらぎの予測できない不規則な動きがこころのリラックス効果と生み出し、心を開放してくれます。他にも、心拍数や小川のせせらぎ、木漏れ日などが1/fゆらぎに該当しますので、そういった意味ではキャンプ自体が心のリラックス効果を生み出します。
こころがリラックスすると、奥底で思っていた「もやもやしたもの」が言葉としても現れることがあります。聞く方も話す方もその「もやもやしたもの」に対して寄り添いあうことで、いままで悩んでいた気持ちがスーと消えていきます。
子供たちは大人ではわからないさまざまな悩みを多く抱えています。子供が発したその「もやもやした部分」に寄り添うことが出来たら、子供の中で解決することがあります。
是非、焚火を見ながら、たわいもない会話を楽しんでみてください。
創造する力が広がる
日常から離れることで今まで見えなかった部分が見えていきます。草木の匂い、風の音、小鳥のさえずりなど普段見逃した部分を改めて感じることで視野が広がり、創造性が高まります。
若者は創造性に乏しいと感じるときがあります。決められた枠の中で決められた生活を送ることによって、想像力が失っていきます。
自然を探索して新たなものを創造する
自然には様々な生き物が住んでいます。普段は見過ごしている小さな草花や虫など、大人では見つけられない視点で子供は探し出します。
子供たちはダンゴムシが好きですよね。大人では気持ち悪がったりしますが、子供たちは平気で集めます。そして集めたダンゴムシを使って新たにイメージを創り出します。ダンゴムシどうしで相撲をしてみたり、丸くなるところからいっぱい集めてご飯に見立てたりする子もいたり。本当に想像もつかないことを思いつきます。
大自然の中であればなおさら想像力が高まります。
高原の野原に座った女の子が、シロツメクサで花飾りを作ったり小さな葉っぱを集めて料理を始めたり。森を探索した男の子は、落ちている枝を振り回して剣の変わりにしたり、指揮棒にしたりとただの枝から魔法の杖に代わります。
想像から創造へ。自然は子供にとって大きな教科書ですので、是非とも多く体験させてください。
満点の星空を見て宇宙の大きさを感じる
昔の人は星空をみて、動物などをイメージして星座ができました。私も実際に満点な星空を見てみて感じたことは、正直、あまりに無数の星のため、よく昔の人は生き物をイメージしたものだと改めて感心しました。
そう思うと昔の人はとても想像力が豊かだったと思います。
うちの息子は宇宙や星が好きなため、当然星座もそこそこ詳しいです。以前息子に星座の覚え方を聞いたところ、丸暗記というより輝く星の光り方から星座をひとつずつ覚えていったそうです。
ここでも、星を見て一つ一つの光る特徴から星座を覚えることで、想像力のトレーニングとなります。星は想像する力の宝庫です。是非とも子供と一緒に壮大な宇宙の星々を想像して、創造力をみにつけてください。
好奇心を目覚めさせる
キャンプは子供たちにとって好奇心の種が沢山入っている宝箱です。自然と触れ、不自由な環境を楽しむことで、本来子供たちが持っている好奇心を目覚めさせることが出来ます。
遊びの中から目覚めさせる
キャンプでの遊びは、釣りやカヌーなど川遊びやアスレチックにハイキングなど森林での遊びなど、体を使う遊びが多くあります。
脳の発達を促す
興奮したり、興味をもったりして、思いっきり体を動かすことで、あらゆる神経が刺激されて脳の前頭前野が活発に働きます。前頭前野は意思や集中力、がまんする力をつかさどるところです。幼児期に前頭前野を活発に働かせることは、お子さまの精神的な落ち着きや集中力につながります。出典:ベネッセ教育情報サイトより引用
一日中外で遊ぶことは、思ってもいない発見やチャレンジ精神が芽生えます。
例えば川遊びでは「大きな石をどけるとどんな動物がいるんだろう?」という好奇心から石をどかすと様々な虫や魚が逃げていきます。そこで石には様々な生物が住んでいることに気付き、また新たな石を動かします。そういった行動が新しい発見を知り、チャレンジする意識が目覚めさせます。
社会に出て一番必要なことが好奇心です。私は多くの若者と接しているうちにこの好奇心が年齢とともに失っていくことに気付きました。
社会人1年目はキラキラして多くの仕事を吸収しようと、好奇心に満ち溢れていますが、3年目くらいになると何かを悟ったかのようにどんよりした目に代わります。
逆に子供のようにいつまでも好奇心に満ち溢れている人は、どんな困難でもプラスに捉えてチャレンジしていきますので、結果的には成功(本人にとって)していきます。
好奇心とチャレンジ精神を持っている大人は子供の頃に培ったものだと考えています。
自然の中から探求心が身につく
キャンプでは自然の中で遊ぶ以外にも、何かを作ることもキャンプの醍醐味です。
例えばテントを設営するにしても、男の子だとすぐに袋から出そうとしたり、杭を打とうとしたり、骨組みを組み立てようとします。また女の子は、説明書を見て、親に質問したり指示を出したりと他者との共有します。
キャンプでの生活が、やりたい・みたい・知りたい・触りたい・伝えたいなど子供が持ている好奇心がどんどんあふれ出し、それが知的好奇心や行動的な好奇心へとつながり、最後は自らの好奇心を探求する力を身につけます。
ですので、親はその好奇心をなくさないように、その子の危険が及ばない限りは暖かく見守ることが大切です。
社会性が芽生える
昆虫と触れることで思いやりを持てる
最近の子供たちは昆虫を捕まえることが出来ません。6割の子供が触れないという統計も出ています。
キャンプでは、昆虫の宝庫です。川へ行けば川の昆虫、山へ行けば山の昆虫と都会では出会えることがない昆虫もたくさんいます。たくさんの昆虫を見て触れることで、命への理解や大切さを学び、思いやりを育む効果があります。
今まで触れなかった子供も、たくさんの昆虫を見ることで、捕ってみたいという気持ちになることが多いようです。この時虫嫌いにママさんであれば、嫌がらずに頑張って触れれば、子供も勇気を持つことができます。
そのうち昆虫を手のひらに乗せられるところまでいけば、昆虫の愛らしく感じることが出来、小さい命を感じ始めます。
また、虫の命ははかなく、すぐに死んでしまうことも多くあります。
例えば、山で見つけた昆虫を虫かごに入れていたら次の日に死んでいた場合もあります。その時、子供としては「自分で虫かごに入れたことが原因で虫を死なせてしまった」と責任を感じ、深く反省すると思いますが、親が優しくフォローすることで、命の尊さを学び、結果的に相手を思いやる気持ちが芽生えていきます。
子供たちが昆虫に触れるときは、親や大人のフォローがその後の成長に大きく関わってきますので、嫌がらずに教えてあげてください。
共同作業から社会性が育む
テントを張る、食事を作る、片付けをするなどを親と子で作業することで、子供自身が「やればできる」ことを学び、頼られることによって満足感も芽生えさせます。
キャンプでは多くの人が作業を参加することで、短い時間で進んでいきます。特に暗くなると作業もしずらいため、食事作りもある程度明るい時間で仕込んでおく必要があります。
またテント張りひとつ見ても、ファミリー用の大きなテントは一人で設営するよりは家族全員で設営したほうが、よりスピーディーに出来上がります。特に子供は出来る作業も限られてきますが、例えば「このポールを持ってて」とか「順番に杭を渡して」など、その子が出来ることを進めていけば、おのずと自分から行動を起こしてくれます。
子供たちが一緒に作業することは、子供自身の中にある存在価値を芽生えさせ、判断力がついてきます。もちろん、見当違いもありますが、そこは親がさりげなく訂正することで、間違いを自ら気付き、次からは正しい行動に移しくれます。
この当たり前の行動が結果的に社会性を芽生えさせ、大人になった時に役立ちます。最近では命令されないと動けない若者もおり、その多くは「勝手に行動したら怒られる」や「やってよいかわからない」といった自分での考えを行動に移すことを恐れています。
「今仲間がこの作業をしているから私は別の作業をしよう」といった全体的な視野で物事が見られることが出来るようになる一つの方法として、キャンプでの共同作業となります。
まとめ
まとめると、子供たちが成長する4つの変化になります。
- コミュニケーション能力が上がる
- 想像する力が広がる
- 好奇心を目覚めさせる
- 社会性が芽生える
他にもキャンプでは自主性が養われ、社会には最も必要な要素です。
最近ではキャンプが流行り、とても身近になってきました。
ただ、キャンプを子供の教育と考えるのではなく、親と子が一緒に楽しむことが、一番の学びの場になりますので、是非ともキャンプで思い出作りをしてください。
最後に、キャンプ初心者がどんなグッツをそろえればよいかわかりやすく紹介してくれる「Amazonキャンプ初心者ストア」をご覧ください。
それではまた!
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