最強のペグとしてダントツの鍛造ペグ。キャンパーの多くがソリステやエリステの鍛造ペグをおすすめしますが、初心者には鍛造ペグってなに?ソリステ?エリステ?と知らない人も多いのではないでしょうか。ここでは鍛造の意味やソリステやエリステなどの鍛造ペグに匹敵するペグを紹介します。
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キャンプをしている人にペグの相談をしたら、ソリステやエリステを勧められたんですけど、そもそもそれって何ですか?
ソリステとはソリッドステーク、エリステはエリッゼステークの略でどちらも鍛冶産業で有名な新潟県の燕三条から作られた鍛造ペグです。
ちなみに燕三条は燕市と三条市であわせた地域名です。
そうなんですか。で、鍛造ペグって何ですか?
鍛造ペグって何?
まずは鍛造ペグの話をする前に加工の方法から鍛造と鋳造という二つの技法があることをお伝えします。
鍛造と鋳造の読み方
お恥ずかしい話、私は両方とも読み方を知りませんでしたので、まずは読み方から。
- 鍛造(たんぞう)
- 鋳造(ちゅうぞう)
鍛造のタンとは鍛錬のタン。鋳造のチュウとは鋳型のイです。実はこの二つの漢字から技法がわかります。
鍛造と鋳造の技法の違い
鍛造と鋳造とは金属加工をするうえで加工する技術の方法を言います。まずはウイキペディアから説明を見てみましょう。
鍛造(たんぞう、forging)とは、金属加工の塑性加工法の一種。金属をハンマー等で叩いて圧力を加える事で、金属内部の空隙をつぶし、結晶を微細化し、結晶の方向を整えて強度を高めると共に目的の形状に成形する。古くから刃物や武具、金物などの製造技法として用いられてきた。
鋳造(ちゅうぞう、英: casting)は、材料(主に鉄・アルミ合金・銅・真鍮などの金属)を融点よりも高い温度で熱して液体にしたあと、型に流し込み、冷やして目的の形状に固める加工方法である。鋳造に使用する型のことを鋳型(いがた)といい、鋳造でできた製品のことを鋳物(いもの)という。
出典: 「鍛造」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2020年5月14日 (木) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8D%9B%E9%80%A0
出典: 「鋳造」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2020年5月14日 (木) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8B%B3%E9%80%A0
鍛造は金属を叩くことによって、その素材自体の強度を数倍に高めてくれることが特徴で、鋳造は金属を高温で液体状にして鋳型に流し込む方法ですので、強度はその金属の性質により変わります。ちなみに先ほどの読み方からもわかるかと思います。
また、金属加工のメッカである新潟県の燕三条が有名で、鍛造ペグといえばソリッドステークとエリッゼステークですが、どちらも燕三条で作られた製品です。
鍛造ペグに使用されている金属
鍛造ペグで使われている金属は主にスチール製(鋼)が多いですが、ステンレス鋼のペグもあります。ちなみにVペグに多く使われているアルミニウムは金属への負担が大きく、金属の強さとしては一番のチタンは加工しずらいことで避けられています。
次にスチール(鋼)とステンレス鋼については次の通りです。
鋼(はがね、こう、釼は異体字、英: steel)とは、炭素を0.04パーセントから2パーセント程度含む鉄の合金。鋼鉄(こうてつ)とも呼ばれる[1]。強靭で加工性に優れ、ニッケル・クロムなどを加えた特殊鋼や鋳鋼等とあわせて鉄鋼(てっこう)とも呼ばれ、産業上重要な位置を占める。
ステンレス鋼(ステンレスこう、英: stainless steel)とは、鉄にクロム、またはクロムとニッケルを含む、錆びにくい合金鋼である。ISO規格では、炭素含有量 1.2 %(質量パーセント濃度)以下、クロム含有量 10.5 % 以上の鋼と定義される。
出典: 「鋼」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2020年6月22日 (月) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8B%BC
出典: 「ステンレス鋼」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2020年7月26日 (日)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E9%8B%BC
スチール(鋼)とは、いわゆる昔からなじみのある鉄のことを指します。この鉄を使って鍛造という伝統技術を使ったペグが鍛造ペグというわけです。
ステンレス鋼とはステイン(Stain)汚れとレス(Less)無いからステンレスという造語です。ステンレス鋼の一番の特徴は腐食性がないこと、いわば錆びにくい(錆びることもある)ことです。
ペグは雨風にいつもさらされていますので長期間しようしても問題なくペグとしての役割を担う必要があります。
そういった意味ではステンレス鋼素材のペグは強固でありながら錆びにくく、常に安定した固定力を持っています。
鍛造ペグの弱点
弱点としては、使われる金属にもよりますが、2大ペグのソリッドステークとエリッゼステークはスチールを例にすると、錆びやすく、1本がとても重いことです。
ちなみに錆びは金属に錆止めの塗装をほどこしてはいますので、すぐに錆びることはありませんが、何度も使っているうちに塗装がはがれ、そこから錆びてしまいます。
そう考えるとステンレス鋼が良いですが、重さはスチール以上の重さにもなりますので、テントやタープなどすべてに鍛造ペグを用いると本数も多くなり、かなりの重量となります。
鍛造ペグに匹敵するチタンの強さ
鍛造ペグの弱点を払拭しているのがチタンです。ただ、チタンは高価で加工しにくいという弱点がありますので、鍛造工法では難しいのが現状です。まずはチタンの特徴です。
チタンは、酸化物が非常に安定で侵されにくく、空気中では空気に触れる表面が強力な酸化物(不動態酸化皮膜)で覆われる不動態となり、白金や金などの貴金属とほぼ同等の強い耐食性を持つ。(中略)チタンは鋼鉄以上の強度を持つ一方、質量は鋼鉄の約55パーセントと非常に軽い。チタンはアルミニウムと比較して、約60パーセント重いものの、約2倍の強度を持つ。
出典: 「チタン」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2020年3月24日https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%BF%E3%83%B3
これからもわかるように錆びない性質で、じつは船の装甲板にも使われるほど海水にも強いため、海辺のキャンプ場でも安心して使用できます。
また強度も鉄の2倍の硬さがあるので、鍛造で作られたスチール製のペグと同等の強さがあり、尚且つ非常に軽いという優れた金属です。
そんなチタンを使った丸棒のペグは、鍛造ペグに代わるペグになるかもしれません。
おすすめの鍛造ペグ
スチール製
スノーピーク(snow peak) ペグ ソリッドステーク30
ペグと言えばスノーピークのソリッドステークといわれるほど定番のペグです。通称ソリステと呼ばれており、新潟の燕三条の技術に伝わる鍛造製法で作られています。
どんな固い地盤でも確実に刺すことができ、風が強い日でもびくともしません。
今回は30㎝の長さを紹介していますが、20㎝~50㎝まで10㎝ずつ4種類ありますので使う用途によって選んでも良いでしょう。必ず一つは常備しておきたいペグです。
エリッゼ(ELLISSE)鍛造ペグ エリッゼステーク 28cm
ソリッドステークと並んで2大ペグであるエリッゼステーク、通常エリステと呼ばれています。
エリッゼとはイタリア語で楕円という意味で、当然形も丸ではなく楕円のため地中にクルクル回ることなくガッチリと固定されます。
村の鍛冶屋という会社が燕三条の優れた伝統技術を使って作られております。今回紹介しているカラーは黒と赤ですが、実はバリエーション豊かなカラーの種類があります。
ステンレス鋼製
キャンピングムーン(CAMPING MOON) マルテンサイト系ステンレス鋼420J2 鍛造ペグ
鍛造ペグでは珍しいステンレス銅です。しかもマルテンサイト系ステンレス銅という高硬度を誇る素材です。
そのため砂利や強固な地面でも問題なく打ち込めます。実はこのステンレス銅は成型時に割れの原因となるもろい化合物が含まれているため、できる限り純度の高いステンレス銅を使って丁寧に鍛造工程をしなくてはなりません。
通常の鍛造ペグとは違うものを持ちたい方にはおすすめですが、かなり重いので注意が必要です。
おすすめのチタンペグ(丸棒タイプ)
Boundless Voyage チタン合金丸棒ネイルペグ
鍛造ペグよりも細いけれども同様の固定力があるペグです。
素材はチタン合金の為、頑丈で高強度、なおかつ腐食性もないため錆びにくい。鍛造ペグの弱点である石混じりの地面も細いおかげで気にせず打ち込めができます。
また重さも軽いので持ち運びにも便利です。ただ柔らかい土では抜けやすいくなりますので、固めの地面でのキャンプ場がメインの方にはおすすめです。
Soomloom ペグ チタン製
鍛造ペグに引けを取らないペグです。直径は8㎜と細いですが十分な固定力もあり、長く使える逸品です。20㎝~40㎝で5段階のバージョンがあり(今回は30㎝を紹介)、使用する用途によって使い分けられます。
打ち込みやすく初心者でも安心して使用できます。
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まとめ
昔からの鍛造工法で作られた鍛造ペグ、鋳造工法で作られながらチタンの良さを最大限に生かし作り上げた丸棒のチタンペグは、どちらもおすすめできるペグです。
ペグはテントやタープと違って決して日の目に出ることはありませんが、強風が吹いてもテントが安定した状態に保つには、しっかりとしたペグが必要です。今回紹介したペグは技術者や職人の方々の技術の結晶だということを、この機会に知っていただけたらと思います。
最後に、キャンプ初心者がどんなグッツをそろえればよいかわかりやすく紹介してくれる「Amazonキャンプ初心者ストア」をご覧ください。
それではまた!
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